須磨海岸の西の端に巨大な赤い土木工作物が海に向かって突き出ている。 神戸の市街地の背を縫うように走る六甲山脈が須磨の地で沈むその先っぽにこの巨大な人工物は象徴的に建っている。地形とあいまって、その姿は非常に美しい。この自然と人工物がつくりだす景観はかつての神戸の大事業において生まれたものだ。「山、海へ行く」と謳われた土地開発がそれだ。山を切り崩して住宅地を開発し、その土を海まで運び海上都市を建設した。須磨ニュータウンとポートアイランドである。だから、山が陸から海へ移動する乗り換え地点は六甲山脈が最も海に近づくこの地でなければならなかったのではないだろうか。景観においても、その歴史においてもこの巨大な鉄の塊は神戸を代表する土木遺産といえるだろう。しかしながら、役を終えたその姿がどこかさびしく映るのは時勢のためなのだろうか。
前へトップページ次へ | AO | 2005/1/29