先日、写真を整理していると学生時に制作した「浄土寺浄土堂」の軸組模型写真が出てきた。 いうまでもない、重源上人建立、天竺様の代表的な遺構である。 建築物としての一番の特徴は垂木を含めすべての構造体があらわしになっており、 すべて朱色に塗られている点だ。扇垂木(隅部)と枡組とのバランスの美しさをながめているだけで 十分幻想的なのだが、その朱色にぬられた空間(3間×3間)の真ん中に阿弥陀如来が配され、 しとみどが開放されると差し込んだ西日が垂木の朱色を反射させる。 まさに後光が表現されるその瞬間が圧巻で、他に類のない遺構である。 現代建築との比較材料にもよく用いられ、大まかに言えば手の込んだ化粧材や無駄な装飾を 一切排除している点、構造の合理性の中に建築美を見出そうとしている点など合致する要素は多々ある。 だがむしろそれ以上に、重源のプロデュース能力に注目すべきである。  余談ではあるが、外観は多少みすぼらしい姿になりつつある。もともとシンプルな形だけに・・・目立たない。 外見と内側とのギャップがあまりにも強烈に感じる。しかしそこがまた、 私にとっての浄土堂の最大の魅力でもあり、訪れる際の楽しみの一つでもある。
前へトップページ次へ | KH | 2005/4/28