京都は洛北に曼殊院というお寺がある。 このお寺には「八窓軒」という茶室があり、住職さんに案内され、暗い小部屋を蛇行した先にあるのは、 仏教の「八相成道」にちなんで開けられた八つの窓を持つ3畳台目の空間。 八つのランダムに開けられた窓は、茶をたてる主人の手元を的確に照らすように計画されている。 またこれらの窓は「虹窓」と呼ばれ、庭、軒裏、窓の格子と乱反射を繰り返した光は、 季節や時間帯に応じ窓の障子に無限の色を浮かび上がらせる。 お客は、暗闇による緊張感の中、虹窓が放つ幻想的な光に安堵する。 そしてそのやすらぎをもたらす光の行く先はお茶をたてる主人の手元へ集まり、 主人への、お茶への期待が高まる。  光と闇を同時に存在させるこの空間は来訪者に魔法をかける。 主人のほくそ笑む姿が目に浮かぶようだ。
前へトップページ次へ | KK | 2005/5/ 8