以前、日本最古の御仏を祀る長野県にある善光寺を訪れる機会があり、 「お戒壇めぐり」を体験したことがある。 この「お戒壇めぐり」、本堂内のご本尊下にある暗闇の回廊を通るのだが、 そこは数センチ先も見えない、まさに漆黒の闇の空間である。 そういえば、日常の生活の中で「暗」を感じることはあっても「闇」を感じることはほとんどない。 戦後目まぐるしく都市が発展していく中で街から闇はなくなった。 唯一、昔の町並みを残す京都ですら、夜はお寺をライトアップする始末である。 コマーシャリズムで溢れた現代では形骸化された光しか手に入らないのだろうか。 「お戒壇めぐり」の出口ではまばゆい光が迎えてくれる。 方向感覚すら失う闇の中を壁にすがりながら通ってきた者にとってこの光はまさに希望である。 闇があるからこそ、光が尊い。
前へトップページ次へ | KK | 2005/6/22