椅子の魔力

椅子という奴は建築をしている人間にとってある種の魔力を持っているようで、必ずお気に入りのものがあるもので、お気に入りを聞けばその人のデザインの嗜好まで推測することができるものです。そのような人間の前で下手に椅子の話なんぞしようものなら、長々と薀蓄をたれられる危険があるので気をつけた方がいいかもしれません。というのも、テクノロジー、時代、素材、ディテール、哲学がダイレクトに表現されるという点で椅子は極めて純度の高い建築と言うことができるからではないでしょうか。座るという役割を担った物体という以上の存在で憧れと尊敬する建築家の精神を身近に感じていたい、という欲求が魔力となって我々を悩ますのでしょう。
前へトップページ次へ | YA | 2006/12/18