ダムに沈む村

以前、ダムによって水底に沈むことになった村を訪れたことがある。
全ての建物が、今でも使われているかのようなたたずまいを見せながら、村には誰も居ないのであった。
小学校の図書室の蔵書や化石標本等も一部置き去りにされ、それらは誰でも持ち帰ってよいことになっていた。
建築物から小さなものまで、個人の持ち物に見えるすべてが誰の所有するものでもなくなっているという、不思議な場所であった。
かつて住んでいた方々には、それぞれの思いがあったのであろうが、そういったことを建物自体から読み取ることはできない。
建物は、人が使うことを前提に建てられる。人がいない建物は、実にさびしいものである。
前へトップページ次へ | TT | 2008/1/12