音楽表現の変遷について ‐ドリームガールズ‐

「ドリームガールズ」という映画を見た。
3人の女性歌手グループが、60年代頃のブラックミュージックからスタートし、70年代のポップスへと駆け抜ける映画である。
アメリカのポップミュージックの変遷が読み取れる点でもおもしろい映画であるが、それと同時に、アメリカの大衆音楽の、マスメディアにおける表現のされ方の変遷も見えてくるのが興味深い。

当初プロセニアムアーチがあるような、いわゆる劇場で演奏していたのが、派手な照明や花火、可動舞台を使用するようになり、最後にはステージの形状自体が変わり、歌舞伎の花道のようなものが作られ、客との一体感が楽しめるようになっている。
思えば、現代のジャニーズのスタジアム公演などでは、花道はさらに延々と長くなっており、花道に沿ってテレビカメラが走るためのレールが仕込まれているのを見ることができる。

プレスリーが歌っている映像をイメージすれば、四角いステージの真ん中でシャウトしている姿が浮かぶと思う。
ビートルズの場合は、テレビのライブ映像、屋上ライブ、スタジアム公演、さらには映画などが浮かぶであろう。
ディスコミュージックになれば、ステージの奥行きが広くなり、テレビカメラは高い位置からやや見下ろしがちに撮影していたりする。
この場合、床全体にも照明が仕込まれ、照明で埋め尽くされたステージであったりする。

音楽産業が巨大になり、専用のステージをその都度設営するようなやりかたが当たり前になったこと、
多くの人がテレビで音楽を「見る」ようになったこと、
テレビカメラが自由に動き回れるようになったこと、
カラーテレビが普及したこと。
60年代~70年代という時代は、音楽の表現手法が激変した時代であったのではないか。

「ドリームガールズ」にはあまり出てこないが、並行して、ミュージックビデオという新たな分野が生まれていることも指摘しておきたい。
音楽のみでは不可能な表現を行い、かつ、飽くまで音楽主体の表現であり、現時点で芸術として認められているとは言い難いが、短時間でかつ、感情に訴えることのみが目的であるため、様々な映像表現の実験場となっているジャンルである。

古典的な演奏ももちろん良いのであるが、音楽表現の歴史を考えるときには、やはりロックやポップを外すことはできないと再認識した。

前へトップページ次へ | TT | 2008/2/23