YaleArtGallery

イエール大学アートギャラリーはカーンのデビュー作といわれる。
向かいに建つ最晩年のブリティッシュ・アート・ミュージアムと比較すると
設計理念にかかわる大きな違いがみえてくる。
アートギャラリーに入ってまず気づいたのが
コンクリートの違いだ。
アートギャラリーのコンクリートは荒々しい。
晩年のコルビュジェが用いたブルータルなコンクリートだ。
一方でブリティッシュアートのコンクリートは現代にみられる滑らかな表面のコンクリートだ。
このコンクリートの質の違いは空間の様相に大きな影響を及ぼしている。
もうひとつの大きな違いが光の扱い方だ。
アートギャラリーでは光が物体を照らすものとして扱われる。
かの有名な四角錘のグリッドパターンによるボイドスラブは光に照らされ陰影を刻み、
奥行きを増す。
ブリティッシュアートでは光は空間を満たすものとして扱われる。
グリッドで分節されたユニットの空間自体がスカイライトからの拡散光で満たされる。
最後に挙げるのが、分節方法の違いだ。
アートギャラリーは各階ワンルーム的で多様な使用方法に対応できるミース的なユニバーサルスペースで、
それを支えるストラクチャーが先のボイドスラブだ。
ブリティッシュアートでは空間は20ftのグリッドで分節され、ゆるやかに連続する。
プログラムの違いによるとすればそれまでだが、
後者のほうがよりヒューマンなスケールだ。
素材、光、スケール全ての点で、最晩年は人間的であたたかい空間を志向しているように思う。

前へトップページ次へ | AO | 2008/2/27