ゴッホについて

しばらく前に、ゴッホ展を訪れた。多くのゴッホの作品が一度に見られる、うれしい企画であった。
この展覧会においては、同時代の別の画家の作品も見られ、ゴッホとの比較が可能になっていた。
ゴッホは孤独な男であったとよく聞くが、作品を一度に見ていくと、その孤独さは確かに作品に表れていた。
特定の誰かを描いた作品が少ない。人物のアップの作品は、自画像くらいである。
また、作中に描かれる人物もどうやら他人であると思しき場合がほとんどである。
有名な「夜のカフェ」は、人が集まる場所を描いた作品であるにも関わらず、ゴッホの近くの席には誰も座っていない。
ルノワールが楽しげな女性を描いたりするのとは対照的に、ゴッホの作品には、「親しさ」が欠如している。
にも関わらず、ゴッホの絵には、人物の入っているものが多い。
時には、人のスケール感がずれているものもある。実際にはそこに人はいなかったからではないかと思われる。
ひとを求め、得られない状況が、作品群を通して伝わってきて、いたたまれない気持ちになった。
その、感情が強く伝わってくるがゆえに、確かにゴッホは優れた画家であったのだと感じた。
前へトップページ次へ | TT | 2008/3/ 1