アウトサイダー・アート

アウトサイダー・アートという呼称がある。
文字通り、芸術の流れの外側にいる人のアートなのだが、定義自体も曖昧な呼称である。
広くは、芸術に関する教育などを受けておらず、プロとしても活動していない人によるアートであり、
狭くは、精神疾患を患っている人によるアートである。
シャーマンや預言者などが儀式のために描いた絵などが含まれることもある。
芸術の流れの外側にいるとはいえ、書籍、テレビや新聞など、彼らにも影響を受けるものはあり、なんらかの芸術とリンクする部分も少なくない。
ゴッホなどはアウトサイダー・アーティスト的な要素も持っていたが、プロとして活動し、芸術の「本流」に身を寄せていたため、アウトサイダー・アーティストとはみなされないようだ。
建築では、シュバルの理想宮、ワッツタワーなどを始めとし、名も無いセルフビルドの作品群が含まれる。

定義の仕方の問題で、彼らの作品群からなんらかの手法や表現内容における共通点を見出すことは不可能であるが、
様々なかたちで本流からはみ出たそれらの作品は、多くの疑問や、発見を我々にもたらす。

大きく感情を揺り動かすこれらの作品群は、インサイダー(本流の芸術に関わる人々)が発見しない限り、誰も知らぬままに終わっていく。
本流の芸術が、メディアの存在を前提にしていることに気付かされる。

日本においては、世田谷美術館でアウトサイダー・アートの企画展が催された。
いまでもその図録は、『パラレル・ヴィジョン 20世紀美術とアウトサイダー・アート』というタイトルで入手可能である。
本書では、インサイドとアウトサイドの関わりに焦点を当てており、興味深い。

前へトップページ次へ | TT | 2008/3/ 8