「形の意味」

滝沢健児著の、「形の意味」という本を読んでいる。
60年代に書かれた本であり、内容には時代の隔たりも感じられるが、充実した内容の本である。

生産者の現実的な立場と、受け取り手の単純な美的感覚は、往々にして相反する。
このふたつを両立できる形を追及する試みがわかりやすく説明されている。

60年代頃に建てられた市役所などに行くと、木製の階段手摺や枠廻りの部材が、不思議な不整形になっていることがよくある。
その不整形に思われる形状が、ある論理の上で、合理的につくられていることをこの本では解き明かしている。
ものによるが、ここに記されているいくつかの不整形な木製の枠廻りは、むしろ材料効率を上げることで成立している。
なおかつ、それは我々を独特の美学でひきつける。

建築を、生産方法も含めてじっくり眺めることで拓いた地平が見える、力強い本だ。

前へトップページ次へ | TT | 2008/4/ 5