安部公房

最近、安部公房を数冊読んだのだが、ある事実に気付いた。
閉じた場所に関わるエピソードが多いのである。
地下の採掘場跡に住む男、段ボール箱をかぶって生活する男、蟻地獄のような地形に落ち込んで、出られなくなる男、、。
それぞれ、その閉じた世界の中で、日常とは別の秩序が発動し、そこからの脱出を試みるものや、そこに安住するものがいるのである。

例えば、ダンボール箱をかぶって生活することによって、別の生活を成立させるという考え方は、建築の役割の一側面をうまく捉えている。

社会は制度によって成立しており、建築は、それを滞りなく機能させ、強化する機能を果たしている。
そして、的確な建築を失うと、制度は脆弱になり、時に、維持できなくなる。

安部公房は、ただの段ボール箱にもある、環境を変える力を自覚していたようである。

前へトップページ次へ | TT | 2009/6/20