カステルウ゛ェッキオ美術館

スカルパの代表作の一つ。
14世紀の貴族の古城を改修した美術館である。
堀にかかる小さな橋を渡って城内へとアプローチし、
中庭を右に迂回しながら奥に見えるエントランスへ。
ロの字型の建物配置の中庭部分,どこからともなく視線を感じる緊張した空間である。
石灰質の塗り壁と木の梁、壁には梁を受ける石が突出している。
床はコンクリート直押エのようだが古びた銅色。
簡素で素材感のある空間。日本人はそう感じるだろう。
展示室は直線の導線を維持しながら個室が連続していく。
部屋どうしは600mmほどの厚みの壁にあいたアーチ状の穴で繋がっており、
それらをくぐるたびに気持ちが深まっていく。
展示品の並びは一律ではない。見学者を誘導するように点在する。
対照的に、建物はシンメトリーの構成で規律性と厳格さを感じる。
視覚にうったえてくる質感をより一層重く感じさせる。
スカルパはそんな重々しい空間の中に対比するように心やすらぎと潤いの場をつくった。
上部に取られた採光窓から入ってくる光と空の景色。
たまりとなるようなちょっとしたスペース。
いつの間にか、ゆっくりとした足取りになり、そこで立ち止まっていた。
一回りするのにどれくらいかかっただろうか。
出てくるときには随分と時間が経ち、よい本を読んだ後のような気持ちになった。
(神戸大阪)+(設計事務所)

前へトップページ次へ | SF | 2010/4/ 1