日向別邸

ドイツの近代建築をリードしたブルーノ・タウトの作品が熱海に残る。
タウトと言えば、真っ白な集合住宅の印象が強いが、
真骨頂は色彩表現で、街区すべてがカラフルな色で仕上られた建築群も設計している。
日向別邸はそれに通ずる豊穣な素材空間だ。
床には、ナラ、チーク、台湾ヒノキ、畳、
竹のスクリーンに、漆喰壁、赤紫のシルクの壁
木貼り天井、コーニスで縁取られた白く光るシルクの天井、スギの大和天井
と種々の素材があふれる。
各室の間の建具と欄間によってインテリアが切り替わる。
無目高さや床割をそろえて、多様なインテリアに統一感をもたらしている。
様々な素材によって社交場としての華やかさをつくろうとしたことが伺える。
社交室にはホワイエが併設され、洋室には観覧用の階段座席が設えてある。
立体的な和室構成(茶室、書院、縁側)は日本の伝統建築から想を得つつ、
いづれも社交場として様々なシーンに応えるプランニングを意図したのだろう。
かたちではなく、ひとの体験や意識が、建築家の頭の中にいつもあったのだと思う。
神戸+設計事務所

前へトップページ次へ | AO | 2013/10/ 9