ロシア絵画 個性のあらわれ

先日、渋谷の文化村にて、ロシアの絵画展を見た。
19世紀末~20世紀初頭の、写実的な油彩風景画が中心の展覧会だった。

写実絵画は、それが現実を完全には写し取らないことがおもしろい。

このロシアの絵画展でも、数人の画家は、はっきりと個性を発揮していた。
写実であるにもかかわらず、ある画家は厳しく、ある画家は暖かく、、。

現実の捉え方は、ひとそれぞれに異なる。
それがために、出来上がる絵画も異なる。
絵を描くということは、いわば翻訳のようなものだ。
同じものを見ても、同じものを描くことはできない。
おそらく、どんなに突き詰めても、写実絵画は、無個性にはならない。

私たちが生きる現代では、ことさらな個性を珍重する傾向が強い。そのことに少しくたびれる時もある。
奇をてらわず、まっすぐに個性が発揮されたロシア絵画は、当時の芸術の充実ぶりを感じさせ、少しうらやましかった。
六本木設計事務所

前へトップページ | TT | 2019/2/22