ハイライン

ニューヨークの「ハイライン」を訪れた。
廃線になった高架の線路を、細長い遊歩道として再利用したものだ。
「ハイライン」はあくまで歩道だ。どこかとどこかを結びつける「線」としての機能しか無い。結びつけられる「点」は、現在進行形で準備されつつある。

美しく緑化されたハイラインの周囲は開発ラッシュというべき状況になっており、レンゾ・ピアノ、フランク・ゲーリー、ジャン・ヌーヴェル、ザハ・ハディドといった、世界的スター建築家の建物が順番に完成している。また一方で、既存の建物の再利用が成功している事例も見られる。

「ハイライン」のプロジェクトは、建築家や都市プランナーではなく、たった2人の地元住民からスタートしたという。賛同者が増えた結果、周囲も巻き込む巨大な都市的プロジェクトに発展したのだ。

日本でも、今後いっそう、社会のストックを有効活用することが求められるようになる。
ゴミの山から宝物を見つけ出すのは、とても難しいことであり、ひとりの力ではできない。(あるいは文字通りのゴミを宝物になるまで磨くのかもしれない。)
誰かが宝物を見つけたときにそれに耳を傾け、力を貸すことができたとき、ひょっとしたら、この「ハイライン」のような、幸福な結末が生まれるのかもしれない。
自分が宝物を見つけることはできないかもしれない。だけど、宝物(らしきもの)を見つけた人に手を貸せる人でありたいと思った。
六本木設計事務所

前へトップページ次へ | TT | 2018/9/28